20年空き家の片付け
- 2024年07月26日
- 今回の案件は、6月の中旬ごろに依頼を受けたものなのですが、月末には解体が決まっているのだが、解体屋さんが現地を見に行ったところ、残置物が大量にあり、このままでは解体に入れないというものでした。
そこで、急遽ではありましたが、現地の見積りに行きました。
宝塚市のその現場は、画像にもありますが、鉄筋構造の2階建てで、聞くと、20年間放置されていたそうです。
一階のガレージの奥に玄関があるのですが、内部から積もって玄関ドアを圧迫している状態でした。
俗にいう「ゴミ屋敷」だというのはすぐに分かりましたが、入り口が入れなく、仕方ないので外階段から2階に上がって窓から中の様子を伺いました。
窓は開いたままになっていて、動物が入れる状態です。
2階の洋間にはベッドが見えましたが、その横には雑草から成長した木が生えていました。
画像にもありますが、天井は落ちてきており、断熱材が垂れ下がっています。
床も一部ですが、底が抜けており、一階部分が見えていました。
何とか内部に入りましたが、目に着いたのは大量のペットボトルです。
古い形の1リットル入りのコカ・コーラです。
二階の和室はそれらが積もり積もって1メートル以上あり、奥に何があるのかさえ分かりませんでした。
紹介者からは「解体の日程まで、10日ほどしかありませんが、出来ますか？」と聞かれました。
正直、このゴミの中から何が出てくるのかも分からず、見積りをして、請け負うのが果たして可能なのかどうか、疑問でした。
その一方、何とかしてやり切って間に合わせたいという気持ちもありました。
あとから聞いたのですが、他社さんの見積りがあまりに高額で厳しいとのことでした。
急な依頼とこの状況から考えるとあり得る話です。
そこはご紹介者さんのせっかくのご依頼ということもあり、金額も常識的な適正価格にして出しました。
翌日、すぐに段取りしてやってほしいとのお返事でした。
早速、日程調整をして、スタッフの確保と処分するゴミの処理をどうするかを決めて収集運搬業者を手配しました。
こんな現場の場合は時間をかけずに一気に片づける方が勢いが付き、割と早く終わったりするものです。
一般的にごみ屋敷というと大量のゴミが山積みになっていて、臭いもきつくて大変なイメージを持っていると思います。
確かに電気も水道も止められていて当然暗い中、空調もなく、夏場なら汗をかいて、悪臭の中とても作業なんかできないと想像するでしょう。
これは考え方次第なのですが、まず、ゴミ屋敷ということは全て処分するものしかないということ。つまり、可燃・不燃・粗大ゴミの仕分けはしますが、何か貴重品があるとか、探さなければならない書類があるとかの手間がかからないということです。
今回20年という時が経過していたことから、生ごみが完全に乾燥していて生の状態のものがほとんどなかったということです。
また、害虫も年数が経過したおかげでそれほど気になりませんでした。
実際に作業に入って分かったのですが、心配していた動物の死がいや汚物などは見られませんでした。
ただ、大量のペットボトルは全部空ではなく、中身が入った物が結構ありました。
画像に冷蔵庫が見える空間がありますが、ここが台所でして、中身の液体は流しから処分するしかありません。
ちょうど私がその作業をしていたのですが、一本一本キャップを開けて中身を出すという作業を延々と繰り返していたら、ついに左手の手の皮がめくれてしまいました。
特にゴミ屋敷などの衛生環境の良くないところでの作業では、怪我は禁物です。
どんなばい菌が入るかも知れません。十分注意が必要です。
また、長年積もったゴミは圧縮されて下の方は固まっています。
そこは経験から、スコップや鋤的な道具も用意していたので、家の中で土方作業をしている様子になりました。
今回の現場で一番気を付けたのは建物自体が危険な状態だったことによる事故です。
2階の床が落ちていることから、踏み外してしまわないように慎重に行いました。
では、1階は安全かと思えばそうでもありません。
アフターの画像にある床が抜け落ちている部屋は、和室で畳の下の床が湿気で腐って弱っており、不注意に踏むと次々に床が抜けてしまいました。
作業に入ったスタッフも注意しながらの作業に苦戦したと思います。
雨が降ると雨漏りがするので、心配していたのですが、運よく天候に恵まれて搬出することが出来ました。
今回、解体屋さんの事前の近隣挨拶と今回の片付けの為に私が回った挨拶で、ご近所さんはみんな協力的で助かりました。
正直、20年も放置されていたらご近所さんもさぞかし迷惑に思っていたと想像します。
予定していた段取り通り、3日で作業は終わり、パッカー車での収集も順調に終わり期限内に作業を終了出来ました。
翌日には解体屋さんが来られて足場組みの作業に入ったそうです。
後日状況を見に行ったら、画像のように建物がすっかりなくなっていました。
お隣の方もホッとされたことでしょう。
跡地には新築の家が建つそうです。
最近、解体の費用が高くなっている傾向にあります。
また、木くずを粉砕する中間処理場が混んでいることから、解体工事が増えていることが分かります。
これからも空き家が増える傾向は何年も続いていくことでしょう。
古い家を片づけて、解体して新しい家を建てることはこれからもますます増えると思いますが、一方でいまだに山を切り開いて造成し、住宅地を増やしています。
宝塚市でも近くに見られるのですが、自然破壊により動物たちが追いやられて減ってきています。
相続の問題や、放置空き家、空き地などによって、九州地方と同じくらいの土地が使われずに放置されているそうです。
これからの日本に突き付けられた問題の一つだと思います。
空き家になっている実家はありませんか？
後になるほど子供や孫は大変なことになってきます。
今から解決するための一歩を始めてください。
長文になりましたが読んでいただきありがとうございました。
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